鏡の国のミナ (★★★)

画像Ayneh
The Mirror
1997年/イラン

【監督】
 ◆ジャファル・パナヒ

【脚本】
 ◆ジャファル・パナヒ

【出演】
 ◆ミナ・モハマド・ハニー
 ◆Kazem Mojdehi
 ◆Naser Omuni
 ◆M. Shirzad
 ◆T. Samadpour


 主人公は5、6歳の少女ミナ。毎日親の車で学校への送り迎いをしてもらっている。しかしある日、親に急用が出来たらしくいつまで経っても迎えに来ない、そこでミナはバスを利用し一人で家へ帰ることにする。果たしてミナは無事に家にたどり着けるのか? という初めてのお遣い的趣向のお話。
 エブラヒム・フルゼシュの『鍵』同様、子供の視点に立つことで、ふりかかかる(大人にとっては)些細な出来事を、サスペンスフルな大冒険として描こうとしている作品なのだと思いながら観ていたら驚きの急展開が…。

 物語中盤、突然ミナは衣装を脱ぎながら「もう嫌だ!」と撮影を中断させてしまう。泣きなさいというパナヒ監督からの演出に、「これじゃあ私が泣き虫だと思われるじゃない!」と抗議したミナは「バカみたい、私なら家まで簡単に帰れるわよ!」とばかりに撮影をボイコットし、一人で現場を離れてしまう。
 困惑するスタッフに監督は隠し撮りをしながらミナを追いかけように指示。本当にミナは一人で帰れるのか?
 フィクションであったはず物語が突然ドキュメンタリーに転換し、同じテーマを引き継いでいくという前代未聞の展開に唖然としたのは言うまでもありません。

 しかし、本当に後半部分がドキュメンタリーなのか? ミナの撮影放棄が突発的出来事だったのか? ちょっと疑わしいところもあったように記憶しています。
 もう一度観たいと思っているのだけど、録画したビデオも既に無く、ソフト化もされていない作品なので、どこかのチャンネルが放送してくれるのを待つしかありません。

 何にしても、このような形に捉われないトリッキーなスタイルはイラン映画の魅力のひとつであることは間違いなさそうです。
 抑圧された国の映画に自由を感じ、自由を売りにしている超大国の映画に不自由さを感じてしまう。何ともおかしな話ではありませぬか。

(シネフィルイマジカ/★★★)

この記事へのコメント